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5年ぶりとなるフルアルバム『HEAVEN』を発表したラッパーのZEN-LA-ROCK。共演陣には、鎮座DOPENESSやG.RINA、TOKYO HEALTH CLUBなど錚々たる顔ぶれが並び、アルバムジャケットには、ZEN-LA-ROCKが「アルバム全体を表現するキャラクター」と語る異様な雰囲気のデコチャリが写し出されている。

笹塚ボウルで行われたジャケット撮影現場に足を運び、ZEN-LA-ROCKとデコチャリ制作者のイラストレーター・NONCHELEEEに、二人の出会いからアルバムの制作過程までを聞いた。

photo_Kodai Kobayashi text_Yosuke Noji edit_Kentaro Okumura
ZEN-LA-ROCK『HEAVEN』

撮影30分前に完成した特製デコチャリ

——『MOON EP』のジャケットをNONCHELEEEさんが手がけるなど、かねてより親交のあったお二人ですが、そもそもの出会いを教えて下さい。

ZEN-LA-ROCK 最初にノンチェくん(NONCHELEEE)のことを知ったのはInstagram。「知り合いですか?」みたいなところに彼が表示されていて、何気なく作品を見てみたら「めっちゃいい!」と。それからは頻繁に見るようになって、ちょっとしたファンになりました。

NONCHELEEE 僕はもともとゼンラさん(ZEN-LA-ROCK)の筋金入りのファンでした。奥さんと初ドライブのときにかけた曲もゼンラさんの「SUMMER VACATION feat. LUVRAW & BTB」で、「これ最高やろ?」っておすすめしたのを覚えてる(笑)。

イラストレーター・NONCHELEEE
ZEN-LA-ROCK「SUMMER VACATION」

ZEN-LA-ROCK 実際に会ったのは、2014年に福岡でDONUTS DISCO DELUXEのツアーに参加させてもらったとき。俺にとっては修学旅行以来の福岡で、しかもサプライズゲスト的な感じだったので事前告知もそんなにしていなかったんですけど、ライブ終わりにフロアにいたら、突然ノンチェくんが「僕、絵を描いてるんです」って話しかけてきてくれて。その場で作品を見せてもらったら「ええええ!!いつも見てるよ!!」みたいな(笑)。

NONCHELEEE 初めて福岡でゼンラさんを見たので、あまりの嬉しさに話しかけに行ったら、僕のこと知っていてくれたんだから驚きですよ。その場で連絡先を交換して、「連絡しなかったら家行くからね!」って言われたんですけど、来てくれたらそれはそれで嬉しいからどうしよう?みたいな(笑)。

——まさに相思相愛という感じですね。

ZEN-LA-ROCK だから話が早くて、その次の年の1月にはもうソロ活動10周年を記念してリリースした『10th ANNIVERSARY MIXXX』のジャケットを描いてもらったり、ノンチェくんが東京に来たときは現場で共演したりもしていましたね。

——今回はジャケットではなくデコチャリの制作ということですが、どういった背景があって実現したのでしょう。

ZEN-LA-ROCK 今年の4月にノンチェくんが目黒のみどり荘で個展をやったんですよ。俺はどうしても行けなかったから、例によってInstagram上で展示の様子を見ていたんですけど、そうしたらいきなり展示の中にデコチャリが置いてあって。ちょうどアルバムを作り始めたときだったからピンと来て、すぐノンチェくんに「ジャケットに使いたいから作って!」と連絡しました。

NONCHELEEE 厳密に言うと展示していたデコチャリはお借りしたもので、僕はちょっと手を加えただけだったんです。川越にデコチャリで有名なオジサンがいるんですけど、その人になんとかコンタクトを取って使わせて頂いた。でも、ゼンラさんからの依頼は嬉しかったし、すぐにやる!と答えました。

——制作にはどれぐらいかかったんですか?

NONCHELEEE まるまる3日間ですね。僕は普段福岡に住んでるので、東京滞在中に使うためにホテルも予約してたんですけど、結局チェックインできずにぶっ通しで制作して、終わったのが今日の15時半です。

ZEN-LA-ROCK ジャケットの撮影が16時からだから、驚異的なスケジュールだよね。しかも、撮影場所を笹塚ボウルに決めたのも2日前とかで(笑)。もともと笹塚ボウルの店長とは同い年で知り合いだったから、なんとかお願いして空けてもらった感じですね。

——展示のときのデコチャリとは、またひと味違った印象ですね。

NONCHELEEE デコチャリってアンダーグラウンドなカルチャーで、基本的に使う自転車はママチャリなんですよ。でも、今回はゼンラさんが普通に乗ってもイケてるものにしたかったので、BMXを車体にした特別仕様です。

ZEN-LA-ROCK せっかく作ってもらったので、これでおしまいにしたくないと思っていて、次のアルバムでは飛行機になってるかもしれません。どんどん進化していくデコチャリ(笑)。

空耳から始まった楽曲制作

——luteからMVをリリースしたリード曲の「SEVENTH HEAVEN feat.鎮座DOPENESS & G.RINA」の着想はどこから生まれたんでしょうか?

ZEN-LA-ROCK 始まりは、G.RINAさんから上がってきた音源に入っていた「すぐそこ」ってリリックを俺が「セブンスヘブン」に聞き間違えたこと(笑)。でも、伝説的DJのラリー・レヴァンのプレイリストにGwen Guthrieの「Seventh Heaven」っていう曲もあるし、「第7天国」や「有頂天」っていう意味も気に入ったので、この言葉を軸にパズルを組み合わせていった感じです。

——最初のキッカケが空耳だったとは(笑)。

ZEN-LA-ROCK 曲のイメージとしては、“最高にハッピーな週末の夜“。曲の最初に「週末の夜を持て余してる」ってリリックがあるんですけど、そんな暇している女の子を俺と鎮さん(鎮座DOPENESS)がチャリンコで迎えに行くみたいな(笑)。

NONCHELEEE そこでデコチャリが登場するわけですね。

——この曲は、今までの楽曲と少し違った印象を受けました。

ZEN-LA-ROCK アルバム全体で、今回は全部1人でディレクションするんじゃなくて、仲間に頼めるところは頼もうっていうのを意識したんです。「SEVENTH HEAVEN feat.鎮座DOPENESS & G.RINA」はG.RINAさんにディレクションをお願いしたんですが、声にオートチューン(※1)をかけようと提案してくれたのも彼女。今は若いラッパーの子たちも沢山いるけど、ちょっと他にはない大人っぽい曲になったのかなと。

※1…1997年にアメリカのアンタレス・オーディオ・テクノロジーズ社より発売された音程補正用ソフトウェア及び類似ソフトウェアの総称。Daft Punkの「One More Time」をはじめ、エフェクターとして利用されることも多い。

NONCHELEEE デコチャリの制作に関しても、細かく指示をもらうっていう感じではなくて、僕に任せてくれましたもんね。

ZEN-LA-ROCK ジャケット撮影してくれたミリちゃん(写真家・MIRI MATSUFUJI)も、カメラマンを選ぶときにノンチェくんが「どう?」って提案してくれたからお願いすることにしたんです。今回は超過密スケジュールで行き当たりばったりに見えるかもしれないけど、自分の中では全部うまくパキッとハマった。結果的に全部の出会いが必然になったというか。

写真家・MIRI MATSUFUJI

——参加アーティストも約40名と、いつも以上に沢山の方が制作に関わっています。

ZEN-LA-ROCK 古くからの友達も多いですけど、この数年間の俺とノンチェくんの付き合いの中で生まれた新しい友だちも多くて。やっぱり、アーティストにとってのアルバム制作はオリンピックみたいなものなので、自分も楽しみたいし、参加している人も楽しんでほしい。それがいい作品を作るために絶対に必要なんだと思います。

Profile

ZEN-LA-ROCK(ぜんらろっく)

a.k.a . の『COMBINATE FUTURE』はまさかのRAMMELLZEE(ラメルジー) の命名。

CAP ブランドNEMESの運営、アニメ「スペース☆ダンディ」、ももクロの妹分・チームしゃちほこへの楽曲提供やRed bull のTVCM ナポレオン編、NHK E テレ「ごちそんぐDJ」出演、Booking.com WEB CM等と多岐に渡りROCK している。

自身のレーベル『ALL NUDE  INC.』からは現在25タイトルをリリース。先日まさかのMAGiC BOYZに電撃加入& 卒業。

NONCHELEEE(のんちぇりー)

福岡を拠点に活動するイラストレーター。

cero、ZEN-LA-ROCK、嫁入りランド、YOUR SONG IS GOOD、JETSET recordsなど音楽関係を中心に、つどい、HEY&Ho.マヌコーヒー、魚辰鮮魚店、梅山鉄平食堂など、福岡の飲食店、ショップの看板や手土産、お祝い事のアートワークも手がける。

最近では、波佐見焼のマルヒロ、アパレルブランド・PUNYUSにもイラストを提供するなど、活動の場を拡大中。

FUGURIDDIM.com

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