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第二次世界大戦で使われた音響兵器が、時代を超えて現代へ。戦車型の巨大な可動式音響システム(サウンドタンク)や、脳の中で音が鳴るように緻密に音像設計された音響装置。インスタレーションをはじめとするアート活動や音楽制作を行うベルリンのアーティスト、ニック・ノヴァックの音とともに歴史と自然をたどる制作現場に迫る。

text_lute編集部

軍用の音響兵器が後世の音響文化に与えた影響

ベルリンで活動するアーティスト、ニック・ノヴァックが世界大戦中の音響兵器に着想を得て、現在のアーバンカルチャーの文脈に落とし込んで作った「音の彫刻」と呼ばれる音響システム作品シリーズ。これは当時戦争兵器として用いられた音響の歴史や、自然界で動物が発する音といった「音の現象」をテーマに制作されたものだ。

ひとつの作品は、左右に分かれたスピーカーから低音と高音が交差して円を描くような音波が流れるように音像設計された装置。2つのスピーカーの中央に立つと頭の中で音を立体的に捉えられる体験ができる。体験者は聴力という概念を超えた周波数レベルの高音を浴び、脳に直接刺激を受けたような感覚に陥るという。

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また、ニックが開発したサウンドタンクシリーズは世界大戦中に実際に使われていた音響兵器から影響を受けた作品。軍用の音響兵器がいかにして音響文化に影響を与えたのかをテーマにしたものだ。

自然界に存在する、攻撃的で耐え難い「音」から音響兵器の歴史を紐解く

人の耳では聞こえない低音域の「インフラサウンド」と呼ばれる周波数は、脳の感情を司る扁桃体に影響が表れやすい。第一次世界大戦と第二次世界対戦では、そのインフラサウンドを「兵器」として用いる試みが数多くあったが、それを意図的に制御するのがほぼ不可能であったという。

自然界における「相手を怯ませる目的で動物が吠える時は、攻撃的な周波数が発せられる」という気付きを経て、音響兵器の歴史に触れることができるとニックは語る。

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これだけ様々な騒音で溢れかえった現代の環境の中で、私たちが認識する「音」は、自然界のそれに通じるものもあれば人間社会そのものにつながっていくものもある。そして、彼の作るサウンドタンクは実際に文化的な「武器」として使われている。

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例えば、サウンドタンクを使ってパレードがそれにあたる。これは戦時中に行われていた軍隊パレードを模したパフォーマンスだ。彼は混乱地域への兵器輸出に対するデモにサウンドタンクを稼働させ、このサウンドタンクを反戦のシンボルとして使っているのだ。そんなパレード模様を、ぜひこのビデオでチェックしてほしい。

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Produced by lute
Director:Hiroo Tanaka
Producer:Yu Nakajima
Camera:Masaya Kato,Yu Nakajima
Editor:Hiroo Tanaka
Opening timelaps:Masaya Kato
Opening Track:Chikara Aoshima
Translator:Kosuke Kitakoga
Music:Say My Name by Nik Nowak feat Knixx (2013) , Tweeter by Nik Nowak (2011) , Off Shore by Nik Nowak (2011) , hECTOR by Nik Nowak (2016,The Wire)

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