• |

女の子のからだと動きで物語る異色ダンスムービー『ほったまるびより』で表現した”愛”の形とは|吉開菜央 インタビュー

インディペンデントムービーを中心にセレクトした作品を、その製作者のインタビューとともに2週間限定のWeb上映を行う「lute cinema」。第3弾作品は、ダンス映像作家の吉開菜央が、シンガーソングライターの柴田聡子とともに制作し、2015年の文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門で新人賞を受賞した『ほったまるびより』。小さな木造平屋一軒家に住み着いた踊り子たちの物語は、言葉ではなく「女の子のからだ」と「その動きから生まれる音」によって語られる。非言語的かつ、身体性の高い作品性はどこから生まれたものなのか。吉開の身体の感覚を探る。

photo_黑田菜月 text_奥村健太郎
【おしらせ】lute cinema vol.3『ほったまるびより』は、2週間の上映期間を終え2017年6月1日18時をもって公開終了となりました。たくさんのご視聴ありがとうございました。

【吉開菜央からのお願い】
観賞の際は、できるだけ大画面・大音量で、それが難しい場合は、イヤホンを着用の上で御覧ください。

B’zによって目覚めた”踊り”への動物的欲求

——まず、吉開菜央さんについて教えてください。何をしている人ですか?

はい(笑)。踊ったり、振り付けをしたり、映像を作るお仕事をしています。割合としては、撮影が8割、踊りや振り付けが2割くらいです。今はコトリフィルム(映像監督の島田大介が代表を務めるスタジオ)に所属していて、大きな規模の案件だとマネジメントしてもらうこともあります。半分フリーランス、半分所属という感じですね。

——どういうきっかけで所属することに?

島田(大介)さんに直接メールしたことがきっかけです。『ほったまるびより』の制作が終わって少しの間は自由に過ごしていたのですが、そろそろ仕事をしないと…ということで、自分が掲載された「映像作家100人 2015」(ビー・エヌ・エヌ新社刊)の中でいいなと思うスタジオを探して。それがコトリフィルムだったんです。島田さんは私のことを知ってくれていて、「(吉開は)ウチに合うと思う」と言ってくれました。

——撮影の技術は独学ですか?

そうです。もともとは日本女子体育大学の運動科学科でダンスを学んで、東京藝術大学大学院の、映像研究科のメディア映像専攻へ進みました。どちらかというと現代アートやインスタレーションに近い表現を学ぶ専攻で、「撮って編集して『どう展示するか』を考えること」が主なテーマでしたね。

——踊り自体を好きになったきっかけは?

小学5年生くらいの時に、B’zにすごくハマったんです。稲葉さんのパッションにやられて、思わずマネして歌ってみたら、ものすごい音痴だった(笑)。それでもどうしてもあの感じでノりたくて、B’zの音楽に合わせて部屋で一人で踊った。すると「踊りはいけるかも」という感覚があって、なぜかすごく気持ちが良かったんです。それは、例えばピンクレディーみたいに「振り付け通りに踊るのが気持ちいい」のではなくて、曲のイメージに任せて踊ることで「あ、こういう動きもあるんだ」と発見していくようなおもしろさでした。この体験から「これはもうちょっと訓練したらモノになるかもしれない」と思うようになって。私は『ガラスの仮面』が好きなせいか「何かを極めるために訓練したい!」って気持ちが強いんですよね。それで、バレエ教室に通い始めたんです。本当はビヨンセみたいな踊りがしたかったけど、地元の山口県の片田舎にはそんなダンスを教えるクラスはなかった(笑)。

——初めて自分のダンスを人前でパフォーマンスしたのは?

その後、ストリートダンスを始めて、ダンス経験の全くない友達を誘って特訓して、市のコンテストに出たんです。自分で振り付けを考えて……思えば、私はその頃から振り付けが好きだったんですね。バレエを始めたときから「この音にこの動きを合わせたらおもしろそうだな」ってよく想像していましたが、このコンテストで初めて自分で考えた振り付けを人に見せました。ステージへの登場の仕方や衣装まで全部決めて、とても楽しかったですね。入賞はできなかったけど、ステージを降りてから周りの大人にすごく褒めてくれたり、屋台のおじちゃんが「君、さっき(ダンスを)やってた子でしょ、こうやって」って振り付けを覚えてくれたり。自分のやったことがお客さんに伝わったんだ、という感覚がありました。

次のページ人を人格ではなく存在そのもの、タンパク質そのものとして愛でる

Latest