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『ラ・ラ・ランド』のエンディングを見て、「これ、俺がもう何年か前にやってた!」と思った

——本作『小村は何故、真顔で涙を流したのか? -WHY DID KOMURA CRY ? -』は、どんなきっかけで撮り始めたのでしょうか。

大阪芸術大学の同じ映像学科に小村昌士という後輩がいて、彼が授業の課題で、自分で監督主演しているコントみたいな作品を発表していたんですね。音も聞こえないし映像も稚拙なんですけど、小村自体は面白くて。「こいつを使って何かがやりたい」と思ったんです。それで、小村と同じ学年で彼と親しい2人(※近藤啓介、永田佳大。2人は今作で共同監督を務める)に声をかけて「小村に何をさせたら面白いか?」「小村がどうなったら面白いか?」というのを一緒に考えました。

——ということは、監督自身を小村さんやストーリーに投影したわけではないんですね。

そうです。あと、僕は映画監督の吉田恵輔さん(代表作に『ヒメアノ〜ル』『さんかく』など)が大好きで。吉田さんは、日常を面白い切り口でユーモアたっぷりに描く作品を作る方なんですけど「ああいう”日常”の世界観の中で、小村が何かできないか」ということを考えて作りました。吉田さんの映画の面白さをリスペクトして、自分なりにアウトプットした形です。

——この映画のエンディングは、ちょっと『ラ・ラ・ランド』みたいですよね。

そう!(笑)。僕も『ラ・ラ・ランド』を見た時「これ、俺がもう何年か前にやってた!」って思いました。そんなこと、自分からは恐れ多くて絶対言わないけど(笑)。

——あの映画を撮ったのは21歳の時だったそうですが、4年後の今見返してみて、いかがですか?

小村の役の設定が25歳で、自分もちょうどその年齢に追いついたわけですが、あのエンディングって、これからもずっと人生の中で突きつけられる選択なのかなと思います。歳を重ねていけばいくほど、あのエンディングは身につまされるものがあると思う。そんなテーマの物語を21歳の若造がニタニタ笑いながら撮っていたというのは、ちょっと性格悪いですかね…(笑)。

——4月15日から、新作が公開されるんですよね?

はい。『MATSUMOTO TRIBE』というタイトルです。これもまた変な映画で、ドキュメンタリーとフェイクの狭間のような…ちょっと説明が難しいんですよね。主人公は松本ファイターという僕の高校の同級生なんですけど、彼が上京して、松永大司という映画監督の新作オーディションに乱入。そこで色んなことが浮き彫りになっていく、という話です。アホなのか、意外とハイブローなのか、よくわからない(笑)。

MATSUMOTO TRIBE – offical trailer #1

——今回は、何かインスパイアされた映像作品はあったのですか?

いや、それがこの映画にはないんですよ。僕の日常がそのまま出ているというか。ドキュメンタリー的な立場を取っているので、これを撮るにあたって何かを参考したことはないですね。

——最後に、なぜ二宮さんは映画を撮り続けているのか、教えてもらえますか?

一言で言うと、「楽しいから」。でもきっと、映画より楽しいことが見つかったら、映画を作るのは辞めると思います。僕は、「こういうメッセージを伝えたい」とか、「こういう問題を訴えたい」みたいなモチベーションが全くないんですよ(笑)。「自分みたいな人間が、映画館に観に行った時、どんな物語なら面白がるか」ってことしか考えていない。自分が観たくない映画なんて絶対に作りたくないし。そういう意味では、「自分が面白いと思うものが、誰も面白いと思わなくなったらおしまい」って思っています。作る人はみんなそうだと思いますが。

——自分自身が、最高の観客だと。

でも、自分の判断基準って、そんなに特殊なものでもないだろうと思っていますよ。「面白いものは面白い」って思っていますし、みんなが好きなものは大体好きですから(笑)。ただ、好みの微妙なニュアンスっていうのは、自分にしかないものだから、そこを反映するのはなかなか難しかったりします。そういった微妙な表現の部分にはずっとこだわっていきたいですね。

『小村は何故、真顔で涙を流したのか?-WHY DID KOMURA CRY?-』

CAST
小村昌士 南羽真里 f-co 宇野正剛STAFF
監督・脚本 近藤啓介 永田佳大 二宮健
撮影 萩原脩
録音 杉本崇志
美術 塩田佳代
制作 赤穂綾美

Profile

二宮健

91年大阪府生まれ。08年、『試験管ベイビー』が、第3回高校生映画コンクール映画甲子園2008にて監督賞を受賞。14年制作の『眠れる美女の限界』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015にて審査員特別賞を受賞。15年に『SLUM-POLIS』で劇場映画監督デビュー。レインダンス映画祭2015に正式出品された。

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